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このサイトは、ボードゲームを遊ぶ時のインスト(インストラクション)についてまとめていきます。特にボードゲームに不慣れな方やあまり相手のことがわからない時にどのように遊ぶことでボードゲームがより楽しめるかを考えることに主眼が置かれていると考えます。

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【図解付き】パンデミックのルールとインストのコツ!初心者が迷わない教え方と奉行問題対策

パンデミックというボードゲームの概要について。2人から4人まで遊べる、協力型のボードゲーム
目次

【パンデミックとは】協力型ボードゲームの金字塔

「説明が長くなりすぎて、みんなの顔が『早く始めたいな』ってなってた気がする…」

「気づいたら自分だけがずっと喋ってて、なんか申し訳なかった」—

パンデミックのインストを担当したことがある人なら、こんな経験が一度はあるのではないでしょうか。

パンデミック(Pandemic)は、2〜4人で世界中に広がるウイルスに立ち向かう協力型ボードゲームです。発売以来、世界中のボードゲームアワードを席巻し、「協力ゲームの金字塔」と呼ばれるほど高く評価されています。プレイヤー全員が勝つか全員が負けるか、という特殊な構造が生み出す緊張感と一体感は、他のゲームにはない体験です。

しかしその分、インストの難しさも独特で、ゲーム中に一人が指示を出しすぎてしまう「奉行問題」が起きやすいゲームとしても有名です。

この記事では、教育工学の理論「ARCSモデル」をパンデミックのインストに応用した、再現性のある教え方をお伝えします。ARCSモデルとは、A(注意)・R(関連性)・C(自信)・S(満足)の4つの視点から、相手の「やる気」を引き出すフレームワークです。

ARCSモデルの詳細については下記の「インストを始める前に。インストってなんだろう?」もぜひご覧ください。

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初心者が迷わないインストの順番、奉行問題を防ぐ具体的な声かけ、「また遊びたい!」と思わせる満足感の作り方まで、ゲームのインストラクターやゲーム初心者がすぐ使えるコツを順を追って解説します。

ゲームの目的(勝利条件)

「4つの治療薬を発見すること」それができたときにプレイヤー側全員の勝利となります!

プレイヤーができる4つのアクション 

※4つのアクションは好きなように組み合わせて、手番で4回行うことが出来ます。

1. 移動

移動には大きく分けて2つの方法があります。

  • 1マス隣へ移動: 隣接する都市へ車や船で移動します(アクションを消費)。
  • カードで遠くへ移動: 都市カードを使うことで、離れた都市へ一気に飛行機で移動できます。

2. 感染者の治療

自分のコマがいる都市にある「病原体コマ」を1つ取り除きます。 

※治療薬を発見した後の色のコマなら、1アクションでその都市のコマをすべて取り除けます!

3. 知識の共有(カードの受け渡し)

同じ都市にいるプレイヤー間で、「今いる都市のカード」を渡したり、受け取ったりできます。

※パンデミックで最も重要かつ、条件が厳しいアクションなのでルール理解は丁寧に行いましょう。

ただのカード交換ではなく、同じ場所に集まる必要があるのが難しいポイントです。ここをどうクリアするかがチームワークの見せ所です!

4. 治療薬の発見

調査基地がある都市で、同じ色のカードを5枚捨てることで、その色の「治療薬」を発見できます。 4種類すべての治療薬を完成させれば、プレイヤーチームの勝利です!

病原体コマをすべて消す必要はありません。5枚集めて薬を作るのが最短ルートです!感染状況をコントロールしながら、どのように同じ色のカードを一人のプレイヤーに集めていくか。その戦略をプレイヤー間で話しながら見出していくのがこのゲームで重要であり、面白いところです。

感染フェイズ

プレイヤーの手番の最後に必ずやってくるのが、病原体が広がる「感染フェイズ」です。ここがパンデミックで最もスリリングで、盛り上がる瞬間です!

1. 忍び寄る感染(通常時)

感染カードをめくり、その都市に病原体コマを1つ置きます。

「あの都市があぶないよ!」「こっちはまだ大丈夫だね」と、世界地図を見つめる全員の視線が集中します。

2. 限界突破!アウトブレイク発生!!

同じ色のコマがすでに3個ある都市に、4個目が置かれようとしたとき……

アウトブレイク(爆発的流行)が発生します!

  • マーカーが前進!:敗北へのカウントダウンが進み、緊張感が一気に高まります。
  • 周囲への連鎖!!:その都市に隣接するすべての都市へ、病原体が飛び散ります。

3. さらに恐怖の連鎖…!

飛び散った先でも「3個→4個目」になれば、さらに連鎖してアウトブレイクが起きます。一瞬で世界中がウイルスに覆われるかもしれないこの「連鎖の恐怖」こそが、パンデミックを最高に面白くしているスパイスです。

4. 要注意!エピデミックカードの処理

プレイヤーカードの山札の中には、数枚の「エピデミックカード」が混ざっています。これを引いたときの処理は通常の感染とは異なり、慣れないうちは混乱しやすい箇所です。手順を正確に覚えておきましょう。

  1. 感染レートを上げる: 感染レートマーカーを1つ進めます。以降、毎ターンめくる感染カードの枚数が増えます。
  2. 底から引く: 感染カードの山札の一番下から1枚引き、その都市に病原体コマを3つ置きます(すでにコマがある場合はアウトブレイクが発生します)。
  3. 捨て札をシャッフルして上に戻す: これまでの感染カードの捨て札をよくシャッフルし、感染カードの山札の一番上に置きます。

インストのコツ: 最初のエピデミックが出るまでは、インストラクターが横で実演してあげるのが一番です。「これが出ると、さっき感染した場所がまたピンチになりますよ!」と予告しておくことで、処理手順を覚えながらゲームの緊張感も自然に高まります。

パンデミックの敗北条件(3つのパターン)

勝利条件は「4つの治療薬を発見すること」ただ一つですが、敗北条件は3つあります。これらはプレイヤーに残された「命綱」のようなものです。どれか一つでも満たした瞬間、世界は病原体に屈し、プレイヤーチームの敗北となります。

1. 時間切れ(プレイヤーカードの山札切れ)

手番の最後に引く「プレイヤーカード」の山札がなくなった状態で、カードを引こうとしたら敗北です。

  • インストのコツ: 「山札は世界の残り時間です。のんびりしている暇はなさそうです!」と伝えると、手番ごとの重みが増します。

2. ウイルス蔓延(病原体コマのストック不足)

ボードに置くべき色の「病原体コマ」が、ストック(手元)になくなった状態で、コマを置こうとしたら敗北です。

  • インストのコツ: 「特定の色のウイルスが広がりすぎると、対策が追いつかなくなります。早めの治療が大切です!」と、こまめな治療を促す動機付けになります。

3. 世界崩壊(アウトブレイク8回発生)

アウトブレイクが発生し、アウトブレイクマーカーが最後(8番目)のマスに到達したら敗北です。

  • インストのコツ: 「世界中がパニックになり、統制が取れなくなった状態です。連鎖が起きる前に、火種を消していきましょう!」と、危機感を共有します。

【インストの専門家が教える】パンデミックの教え方の順番

理解を早めるインストの「5ステップ」

理解を早めるインストの「5ステップ」というようにルールをダラダラ説明するのではなく、この順番で伝えるだけで、初心者の「理解の解像度」が劇的に上がります。


1. 世界観(まずはワクワクさせる)


「私たちはエリート医療チームです。世界中に広がる4つのウイルスを食い止めるため、今から現地へ飛びます!」
コツ: 最初に「自分たちが何者か」を定義することで、ゲームへの没入感を作ります。


2. 勝利条件(ゴールを明確にする)


「勝つ方法はたった一つ。4つの病原体の『治療薬』をすべて完成させることです。ウイルスを全部消す必要はありません!」
コツ: 何を目指せばいいかを最初に提示することで、後のアクション説明が腑に落ちやすくなります。


3. 手番の流れ(行動をシンプルに)


「自分の番では4回アクションをして、カードを2枚引き、感染を処理します。アクションは移動・治療・共有・発見の4つから選ぶだけです。」
コツ: 「4アクション → 2枚引く → 感染」というリズムを強調し、覚えるべきことを最小限に絞ります。


4. 敗北の引き金(リスクを共有する)


「負け筋は3つ。山札切れ、コマ不足、そしてアウトブレイク8回。これが私たちの『時間制限』です。」
コツ: 負け条件を「敵の攻撃」ではなく「自分たちのリソース限界」として伝えることで、戦略性を意識させます。

ゲームを始める前に:難易度を決めよう

パンデミックはエピデミックカードの枚数によって難易度が変わります。初めて遊ぶ場合は4枚(初級)からスタートするのがおすすめです。

枚数難易度おすすめの場面
4枚初級初めて遊ぶとき・ルールを覚えながら楽しみたいとき
5枚中級2回目以降・本来のバランスで遊びたいとき
6枚上級慣れたチームでヒリヒリした緊張感を楽しみたいとき

5. 各役職の強み(主役感を演出する)


「最後に、あなたの専門分野(役職)を確認しましょう。あなたは『科学者』なので、薬を作るのが得意ですよ!」
コツ: 役職の紹介は「自己紹介」で終わらせないのがポイントです。

「科学者がいるなら、カードを集める担当は科学者に一任しよう」「衛生兵がいるなら、治療は任せて他は移動に集中しよう」というように、チームとして誰が何を担うかをこの場で言葉にしておくだけで、全員が自信を持って最初の手番を動けるようになります。「自分がチームに貢献できている」という感覚が、パンデミックの協力体験を最高のものにする原動力です。

初心者がつまづきやすい「2つの壁」と乗り越え方

1. 「治療」ばかりに気を取られてしまう壁

初心者は目の前のウイルスが増えると不安になり、4アクションすべてを「治療(コマを取り除く)」に使ってしまいがちです。

つまずき: 治療に必死で、勝利条件である「カード集め(薬の発見)」が進まない。

乗り越え方: 大切なのは「治療はあくまで時間を稼ぐ手段」という優先順位の意識です。毎手番の4アクションのうち、少なくとも1〜2アクションは「薬を作るための移動」か「カード交換のための集合」に使うことを意識しましょう。

インストのコツ:「治療は火事の消火と同じ。でも、ゲームに勝つには建物を建てる(薬を作る)必要があります。『今は消火に専念すべきか?それとも薬のために移動すべきか?』をみんなで相談しましょう」と声をかけるのがベストです。ゲーム前に「全員で治療係にならない」という役割分担の意識をひと言共有しておくだけで、チームの動き方が大きく変わります。

2. 「知識の共有」の条件が厳しすぎる壁

「同じ場所にいて、その都市のカードを渡す」というルールは、パンデミックで最も忘れやすく、かつ実行が難しいアクションです。

つまずき: 自分が持っているカードを自由に渡せると思い込んでしまう。

乗り越え方: カード交換を成立させるには、チーム全員が動きやすい「集合しやすい拠点」を意識することが重要です。最初のゲームではアトランタ(開始地点)の調査基地を活用しながら、もう1〜2箇所を早めに建設することを意識するだけで、カード交換の機会が自然と増えます。

インストのコツ: 図解を見せながら、「カードの持ち主と受け取る人が、そのカードに書かれた都市に集合する」という高いハードルをあらかじめ強調しておきます。

「交換できるようになれば、このゲームはもう、”勝ち”です!」

と伝えると、難しさが楽しさに変わります。

協力ゲームの宿命「奉行問題」をどう防ぐか?

なぜパンデミックで奉行問題が起きるのか

奉行問題が起きる根本的な原因は、パンデミックの「情報の完全公開制」にあります。パンデミックでは、全員の手札・ボードの状況・残り山札の枚数まで、すべての情報がテーブルの上に公開されています。

これ自体はチームで戦略を立てるための素晴らしい設計なのですが、同時に「全員の手札が見えているからこそ、最適解が分かる人が思わず指示を出してしまう」という状況を生み出します。悪意があるわけではなく、むしろゲームを楽しんでほしいという善意から出た行動であることがほとんどです。

しかしARCSモデルのC(自信)の観点から見ると、これは深刻な問題です。「自分で考える前に答えを言われてしまう」状態では、初心者はいつまでも「自分にもできる」という自信を育てることができません。指示を出す側も出される側も、気づかないうちにゲームの楽しさを削ってしまっているのです。


全員が主役になれる「インストの工夫」——3つのステップ

協力ゲームを最高に楽しむためには、「正解を出すこと」よりも「全員で納得して決めること」が大切です。インストの段階で、以下の3つの種まきをしておきましょう。

STEP 1:最初に「相談のルール」を宣言する

ARCSの R(関連性)に対応:「このゲームでの自分の役割」を全員が感じられる状態を作る

ゲームを始める前に、ハッキリとこう伝えます。

「このゲームに正解はありません。最強の戦略は、みんながやりたいことを出し合って、納得して一歩踏み出すことです!」

あらかじめ「相談することがルール」だと定義することで、一人が勝手に決める空気感をブロックします。「自分の意見を言っていい場所だ」と感じることで、全員がゲームに関わる理由(関連性)を持てるようになります。

STEP 2:「情報」は共有し、「決断」は本人に任せる

ARCSの C(自信)に対応:自分で考えて動けた、という体験を積み重ねる

誰かが迷っているとき、ついつい「そこは治療して!」と言いたくなりますが、そこをグッとこらえて選択肢(オプション)を提示します。

❌ 悪い例:「次はAさんがモスクワに行って治療してください」

✅ 良い例:「今はモスクワの治療も大事だし、カードを集めるためにアトランタへ戻るのも手ですね。Aさんはどっちが気になりますか?」

最後に「どうします?」とボールを相手に戻すことで、プレイヤーの自己決定権を守ります。さらに迷っている人には「まず自分がやりたいことを3つ言ってみて」と促すのもおすすめです。選択肢を自分の口から出すことで、「自分で考えて動けた」という自信の積み重ねになります。

STEP 3:あえて「失敗」を歓迎する雰囲気を作る

ARCSの S(満足)に対応:失敗も含めてゲーム体験の一部として満足感につなげる

「あの時こうしていれば勝てたのに」という後悔が奉行を生みます。インストラクターが率先して、失敗をポジティブに捉え直す(リフレーミング)声かけをしましょう。

「アウトブレイクしちゃいましたね!
でも、ここからどう立て直すかを考えるのが一番面白いところですよ」

失敗を「ミス」ではなく「ゲームの盛り上がり」として共有することで、誰もが萎縮せずに意見を言えるようになります。

ゲーム後の感想戦でも「あの場面どうすれば良かったんだろう?」と自然に振り返れる雰囲気が生まれ、「また遊びたい!」という満足感につながります。

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感想戦をするとなぜ良いのかをまとめた記事です。この記事も読んでゲーム体験を良い時間にしていきましょう。

まとめ:パンデミックは最高の「協力体験」をデザインしている

ここまでルールのコツをお伝えしてきましたが、最後に少しだけ専門的なお話を。なぜ『パンデミック』がこれほどまでに世界中で高く評価され、私たちの心を掴んで離さないのか。それは、このゲームがインストラクショナルデザイン(ID)の観点から見ても、完璧な「学びと楽しみのサイクル」を実現しているからです。

1. 「即時フィードバック」がもたらす深い没入感

IDの世界では、自分の行動に対してすぐに結果が返ってくることを「即時フィードバック」と呼び、学習効果を高める重要な要素としています。 パンデミックでは、自分が治療を怠れば次の瞬間にアウトブレイクが起き、世界がピンチに陥ります。この「自分の選択が世界を変える」というダイレクトな手応えが、プレイヤーを飽きさせず、高い集中力を維持させるのです。

2. 「スモールステップ」で自然に高まる戦略性

最初は「隣の街へ行く」という単純な行動から始まりますが、ゲームが進むにつれて「カードを誰に渡すべきか?」「どのウイルスを優先して叩くか?」という複雑な課題へと、段階的にハードルが上がっていきます。 この「最初は簡単、徐々に手応え」という設計(スモールステップ)によって、初心者であってもいつの間にか高度な戦略を練る「エリート医療チーム」の一員へと成長しているのです。

3. 失敗が「次への意欲」に変わるリフレーミング

もし負けてしまっても、「運が悪かった」で終わらせないのがこのゲームの凄さです。 「あのアクションをこう変えていれば勝てたかも!」という振り返りが自然に生まれる設計は、まさに良質なワークショップと同じ。「失敗=学びのチャンス」と捉え直し(リフレーミング)をすることで、プレイヤーは「もう一回挑戦したい!」という強い動機付けを得ることができます。

最後に:インストラクターへ

パンデミックを教えるということは、単にルールを伝えることではありません。参加者に「自分たちの力で困難を乗り越えた!」という最高の成功体験をプレゼントすることです。

今回ご紹介した「5ステップ」や「奉行問題の対策」を活用して、ぜひあなたの周りの方々と、「最高の協力体験」を共有してください。

世界を救うのは、あなたたちのチームワークです!

パンデミックというボードゲームの概要について。2人から4人まで遊べる、協力型のボードゲーム

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この記事を書いた人

ボードゲームを遊び始めたのは2015年ごろ。オープン、クローズのどちらのゲーム会も主催した経験があります。その経験の中で、ゲームのインストがうまくいかず悲しい思いをしたので、インストについて意識して勉強しているところです。コメントは歓迎しています。1986年生まれ、男性。札幌在住。妻子あり。

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